骨粗鬆症の薬物治療〈各論⑦〉 (15)

骨粗鬆症とは骨強度が低下し、骨折の危険性が増大した状態です。当院では骨折が原因で健康寿命や生命予後を短縮する患者さんを1人でも多く減らすべく、骨粗鬆症診療に力を入れています。今回のコラムでは薬物治療のうち骨形成促進剤であるテリパラチドについて簡単に紹介したいと思います。

テリパラチドとは

テリパラチドは副甲状腺ホルモンの代謝産物であり、間欠投与(毎日1回、週に1回、週に2回)により骨形成を担う骨芽細胞の分化促進、細胞死低下をもたらすことで、強力な骨形成促進作用を発揮する薬剤です。

テリパラチドの治療効果

テリパラチドは骨折抑制効果が高く、特に腰椎の骨密度上昇に効果的な薬剤です。

テリパラチドの副作用

テリパラチドは3種類の薬剤があり、連日製剤(商品名:フォルテオ、テリパラチドBS)、週2回製剤(商品名:テリボン)、週1回製剤(商品名:テリボン)が現在使えるものです。連日製剤と週2回製剤は自己注射を行う製剤であり、腹部や大腿部に皮下注射を行います。週1回製剤は外来で週に1回皮下注射を行う製剤です。

副作用として問題となるのは悪心、嘔吐であり、特に週1回製剤で多い傾向がありました。そのため副作用の軽減を目指し、週2回製剤が開発されました。どの薬剤も延々と使用するのではなく、2年間という投与期間が定められております。

テリパラチドをよく使用してきた理由

今までのコラムで紹介してきた薬剤は主に骨吸収抑制薬であり、テリパラチドは骨形成促進薬で今までには無い薬剤でした。骨折は連鎖します。「stop at one」 というスローガンがあり、1回の骨折で食い止めようという意味です。テリパラチドは骨折の抑制効果が他の薬剤に比較して高いため、骨折患者さんが次の骨折を起こすのを予防するためによく使用される薬剤です。

一方で、私の考えは「no fracture over a lifetime」であり、1回も骨折を経験しない幸せな人生を1人でも多くの人に送ってもらいたいと願っております。よって多くの外来患者さんにテリパラチドを使用してきました。患者さんにとって大変な治療であることは承知ですが、そのような意思をもって日々診療させてもらっています。

徳島健生病院 整形外科科長 峯田 和明 医師