骨粗鬆症の診断 骨密度検査について骨粗鬆症の診断 (5)

骨粗鬆症とは骨強度が低下し、骨折の危険性が増大した状態です。骨強度は骨密度(柱の本数や太さ)と骨質(柱の材質)で決まります。骨強度を知るには、骨密度と骨質を測定する必要があります。残念ながら骨質は簡単には測定できませんが、骨密度は骨密度検査によって比較的容易に知ることができます。今回は骨粗鬆症の診断に欠かせない骨密度検査について説明します。

骨粗鬆症(続発性を除く)の診断基準

骨粗鬆症は以下の①または②を満たせば診断できます。
①脆弱性骨折あり
 椎体骨折(図1)または大腿骨近位部骨折(図2)がある場合はそれだけで骨粗鬆症の診断が下ります。
②脆弱性骨折が無くても、骨密度検査で若年者平均の70%以下であれば骨粗鬆症です。

図1
図2

骨密度検査について

診断基準に用いている骨密度検査は、X線(レントゲン)を用いたDXA法という検査です。測定する部位は腰椎、大腿骨近位部が推奨されています。健康チェックでは踵(かかと)で検査していますが、あくまでも参考値であり正確なデータではありません。当院では、DXA法で腰椎、大腿骨近位部の骨密度検査を行っております。測定時間はわずか10分程度です。

骨密度検査結果を正しくみるには

一番注目してもらいたいのは、自分の骨密度を若年者(20-40歳代)の骨密度の平均値と比較した値(young adult mean : YAM)です。若年者と比較した値(YAM)が80%以上なら正常、70-80%なら骨量減少、70%未満なら骨粗鬆症となります。

同年齢比較の値は無視してください。「同年齢比較で年齢相応だから骨粗鬆症の治療なんて必要ない」とおっしゃる患者さんがいます。それは間違いです。骨は年齢と共に弱くなる臓器です。骨が弱くなっている同年齢の人と比較しても仕方がありません。必ず、若年者と比較した値(YAM)をみてください。

最後に

骨折を起こすと2度ともとの生活に戻れないことがあります。骨粗鬆症の予防や治療をすれば、憎き骨折は防ぐことができます。まずは、骨密度検査を受けてみましょう。当院では女性は50歳以上、男性は60歳以上で骨密度健診を推奨しています。

徳島健生病院 整形外科科長 峯田 和明 医師