骨粗鬆症診療について〈最後に〉 (17)

今回の号で一旦、骨粗鬆症シリーズの連載は終了とさせていただきます。

私は整形外科医師として何を熱心に診療しているかと聞かれると迷わずに「骨粗鬆症診療」と答えます。

2015年から骨折診療を行うようになり、もちろん最初は骨折を治すことに真剣に取り組みました。しかしながら、骨折はいくら教科書通りに治療したとしても、骨は治ったとしても患者さんの生活活動レベルが元に戻らないという事実に気が付き始めました。せっかく退院しても介護が必要となったり、元の場所に戻れなくなったり、再度骨折して来る患者さんが多いことにも直面しました。骨折診療中に合併症などで亡くなってしまう患者さんもいました。骨折は健康寿命、生命予後の短縮につながるものなのです。

そこで、整形外科医師として骨折をただ待って治療することよりも、骨折をさせないことの方が重要だという意識が強くなりました。2016年からはそのような意識のもとで、骨粗鬆症診療に取り組んで参りました。2019年からは骨粗鬆症専門外来や対策チームなどを立ち上げて院内全体で取り組むようにもなりました。現在は、多くの患者さんが骨粗鬆症診療に真剣に取り組んでくださっていることを感謝しています。

骨粗鬆症診療は患者さんにとっては苦痛でしかありません。なぜなら骨粗鬆症診療は見える敵(骨折)と闘っている訳ではなく、見えない敵(骨折)に遭遇しないようにしていく治療だからです。毎日薬を飲むだけでも大変ですが、注射に通ったり、自己注射をしてくださっている患者さんもいます。本当に大変だと思います。いつまで続くのだろうと嫌気がさしてくる方がいるのも承知しています。

外来で「骨粗鬆症の治療はいつまで続けるのですか?」という質問には「一生です」と残酷な答えを返しています。それは骨粗鬆症の原因の主は老化だからです。骨折のない豊かな一生を送るためには、老化に打ち勝つ骨粗鬆症治療は必須です。ただ、苦痛な治療は長く続けられないので、できるだけ続けやすい治療を提案し継続に結び付けていくことが私の役割だと思って診療を行っています。

最後に、私が言いたいのは骨粗鬆症に向き合っているすべての患者さんに感謝しているということと、まだ骨粗鬆症に気付いていない方が多くいると思うので骨密度健診にいらしてくださいということです。長らくご愛読ありがとうございました。

徳島健生病院 整形外科科長 峯田 和明 医師