骨粗鬆症診療の重要性~骨折予防で人々の健康といのちを守る~ (1)

はじめに

日本は世界有数の長寿大国となり、人生100年時代を迎える日も近く、2025年には高齢者が人口の1/3を占めるようになります。一方で、平均寿命と健康寿命には約10年の開きがあると言われています。老後の生活を豊かにするためには健康寿命を延ばすことが大切です。

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症の定義は、骨強度が低下し骨折のリスクが増大した状態です。骨粗鬆症と診断されても痛くも痒くもありませんが、骨粗鬆症を放置すると骨折の連鎖により健康寿命が著しく縮みます。

整形外科医師として骨粗鬆症診療に真剣に取り組む理由

2015年4月より当院にて整形外科医師として骨折治療を行う中で、生活活動レベルが低下し自宅退院ができなくなる患者さん、中には術後合併症で亡くなる患者さんもいました。骨折は連鎖し、出戻り入院も多く経験しました。

骨折が治癒しても、CRPS(複合性疼痛症候群)で苦しむ患者さんもいます。骨折を起こすと多大な苦痛と長い入院生活を余儀なくされ、退院後に元の生活に戻れる保証はありません。ただ骨折患者さんを待って、治療することが本当に地域の健康といのちを守ることになるのか、次第に疑問を持つようになりました。そこで、初回骨折する患者さんを一人でも減らそうと、2017年頃から外来診療で骨粗鬆症の予防・治療に尽力するようになりました。不幸にも骨折し治療を行った患者さんにも、2度と骨折させないように骨粗鬆症治療を行っております。

骨粗鬆症専門外来の立ち上げと骨粗鬆症対策チームの設立

将来的な骨粗鬆症センター設立に先駆けて、木曜日午前に整形外科骨粗鬆症専門外来を立ち上げました。骨粗鬆症診療は骨密度測定から始まります。骨密度を測定しないことには現在の骨の強さを知ることはできません。また、骨粗鬆症になってから治療を開始するのでは遅いと考えています。

女性は50歳代、男性は60歳代から骨粗鬆症健診として骨密度測定が必要と考えています。骨が弱くなる前から骨の健康づくりを行うことが健康寿命を延ばすことにつながると考えています。当然ですが、骨粗鬆症診療は1単位の外来で完結するものではありません。
骨粗鬆症対策チームを結成し、病院全体の取り組みを行っております。

最後に

骨粗鬆症治療は地域の人々を救うことに留まらず、日本の将来を救う取り組みでもあると考えています。今後、骨粗鬆症診療にいっそう力を入れていくことは、骨折患者で医療崩壊、寝たきり老人で介護崩壊する日本社会を救う道だと考えています。骨粗鬆症診療の取り組みを徳島県全体に拡充し、徳島県の骨折患者を一人でも減らし、その取り組みを将来は全国規模に拡大していきたいと考えています。

徳島健生病院 整形外科科長 峯田 和明 医師