骨粗鬆症の治療② ~運動は骨折予防の基本~ (7)

骨粗鬆症とは骨強度が低下し、骨折の危険性が増大した状態です。骨折を契機に日常生活動作レベルが低下し健康寿命が短縮してしまう患者さんは多いです。骨折は患者さんを苦しめるのみならず、そのご家族の運命をも左右する忌むべきものと私は考えています。骨折は骨粗鬆症の予防と治療をすることで予防できますし、骨折する人が一人でも多く減ることは日本の未来を明るくすると信じて診療しています。

前回のコラムでは骨粗鬆症の予防と治療にはバランスの良い食事が基本だと述べました。今回のコラムでは食事と同じくらい重要である運動療法をテーマにします。

推奨される運動:

  • ウォーキング
  • フラミンゴ療法
  • スクワット
  • 背筋強化訓練

運動療法によって骨密度は増加すること、また運動による骨折予防効果が報告されています。骨密度増加に有効な運動療法はウォーキング、背筋強化訓練です。1日8000歩のウォーキングを週3日以上、1年間継続することで骨密度は約1.7%増加するとの報告があります。

また、背筋強化訓練(図1)を1日10回、週5回程度行うことで腰椎骨密度の増加と圧迫骨折を抑制する効果が報告されています。

転倒リスクを下げることは骨折予防につながります。転倒リスクを下げる運動として推奨されるのはフラミンゴ療法(図2)とスクワット(図3)です。フラミンゴ療法は片足立ちによるバランス強化訓練です。必ず何かを持って支えられるような環境で片足1分ずつを1日3セットが推奨されています。

図2
1セット10回×1日2~3セット
図3

スクワットは半分スクワットとして外来でも紹介していますが、図のような椅子からの立ち上がり座り運動を10回1セットとして1日2~3セット行ってください。最近では骨と筋肉との間にもホルモンによる連携が行われていることが分かってきました。上記のような運動を行うことで骨を強くすることができるのはそのためです。

骨粗鬆症の予防と治療には食事と運動が基本です。またそれよりも先に、骨の健康状態を知ることが重要です。そのためには骨密度健診が欠かせません。当院では50歳以上の女性、60歳以上の男性は骨密度健診を受けることを推奨しています。

徳島健生病院 整形外科科長 峯田 和明 医師