(1)コロナ禍の生活で、目への影響は?
生活に大切な目の健康
はじめに
人生100年の時代が到来し、子どもからおとなまで、それぞれの生活の質に目の健康が大きくかかわっていますが、目の病気や治療も変化してきています。今回から、身近な疑問に答える形で、日常よくであう病気や最近の話題についてお話します。
コロナ禍の生活で、目への影響は?
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、みなさんの生活はどう変わりましたか?もう2年あまり、これまでとは違う生活を強いられ目の病気も変化しています。
増えた病気は?
近視とドライアイです。小児は室内でゲームやスマートフォンを使用する時間が増え、学校でもタブレットなどを使っての授業となりました。近くをみる時間が圧倒的に長くなったことで近視が増えています。また、屋外での活動がなくなり、日光に当たらなくなったことも関連しているようです。
ドライアイは、リモートワークやパソコン生活で、集中して画面をみるため、まばたきの回数が減り、涙がでなくなることで増えています。また、マスク着用中に隙間から上方へ漏れる息は湿気のある呼気でも目にあたると、目の表面を乾燥させます。またストレスや不安でも涙は少なくなると言われています。
対策としては、
- 機器の使用時間を減らす
- 30分画面をみたら、休憩時間をとり、遠くを見て体を動かす
- ホットタオル療法(熱めの湯で濡らしたタオルをまぶたの上にのせる)
- マスクは上端を顔に密着させる
- リラックスする
などが推奨されています。
減った病気は?
はやり目と花粉症です。はやり目はアデノウイルス感染などからおこる結膜炎です。涙を介して家庭や学校内で次々とうつり、主に夏場に多い病気でした。が、インフルエンザが減ったように、手洗いや消毒の習慣の広まり、プール閉鎖、学校などでの接触減少なども関連して減っています。
花粉症もマスクやゴーグルの着用のためか、例年に比べ減り、症状も軽めの人が多い状況です。(ただ今年は昨年よりすこし多い) 対策は、これらを教訓に消毒の習慣を継続し、アレルギーの原因との接触をひきつづき避けることでしょう。
病気の発見や治療の遅れ
外出や運動の機会が減り、食生活変化により、高血圧や糖尿病の悪化している人が増えています。これらは目にも影響する病気です。受診控えの意識のために、治療中断し、この間に病気が進行した人もいます。健診も減り、コロナが収束したら病院へ行こうと思っていたが、と言っている間に病気の発見や治療の時期を逃すことが心配されます。
コロナのない社会にはもう戻れないのですから、これからの健康と生活について、順応も含めてあらためて考えなおす良い機会なのかもしれません。
健生病院 眼科 西内 貴子医師