(5)点眼薬のいろいろな疑問

眼科の治療では、液体状の点眼薬とチューブ入りの眼軟膏を主に使います。点眼薬をもらったものの、いざ入れようとして、いろいろ疑問に思うことはありませんか?今回は上手な使い方のお話です。

点眼瓶をながめてみよう

点眼瓶はほとんどが5㎖入りで、よく似た大きさですが、瓶や蓋の色や形もラベルも違います。薬の内容や濃度の区別のためもあり、カラフルです。形の違いで目が見えにくい人もさわってわかる工夫もされています。

ラベルには、商品名、成分、薬効(抗菌など)、保存方法(遮光など)、使用期限が書かれています。横に透明なスリットが入り、残量がわかるようになっています。点眼薬名は覚えていたいところですが、最近はジェネリックも多く、ややこしい名前のものが増えています。最初の数文字でも記憶にあると、なにかのときに便利です。使用期限は開封しない場合のもので、たいてい1~2年先の年月です。一旦使用すると中に菌がはいることがあり、通常1か月以内の使用が安全です。保存袋に使用開始日を書いておきましょう。冷蔵庫から出てきた古いものは捨てましょう。

点眼のコツ

  1. 点眼は1回1滴。瓶はそっと押しましょう。よく効くようにと何滴も入れたり、どぼっと入れてはダメ。こぼれるだけで無駄です。(白目のくぼみに含まれる量は1滴で十分)副作用の頻度も増えます。
  2. 回数は3回なら、朝、昼、夕(食事の時でよい)。4回なら、寝る前も。○時間おきにと指示がでることもあります。1回なら、入れやすい(忘れない)時間を決めましょう。
  3. 数種類ある場合、順番は指示のとおりにしましょう。
    数分あけて入れるのがよいでしょう。
  4. あおむけに寝て入れる。(座ったまま点眼するのはだれでも難しく、首が痛くなることもあるため)
  5. 入れた後は目をつむり、しばらく目頭をそっとおさえる。(前回の話の涙点からの排出をとめるため)
  6. 瓶の先がまつげやまぶたにさわらないように入れる。(清潔のため)

点眼薬の副作用

その成分や含まれている防腐剤により、副作用がでることがあります。

多少、しみたり、ぼやけたり、充血したりするのは心配ありません。が、いれた後、急にかゆくなったり、まぶたがはれたり、コロコロする感じがひどくなる場合はアレルギー反応の可能性もあります。緑内障の点眼薬では、まつ毛が濃くなったり、産毛がふえたり、喘息発作がひどくなる種類のものもあります。症状がでたら、相談してみてください。

点眼薬も改良され、種類も増えています。とろみをつけ、長く効果が続くよう工夫されたもの、防腐剤による害がでないように、防腐剤を入れず、1回1個ずつになったもの、2種類の薬品をひとつの瓶に合剤としたものなどなど。

入れ方に疑問があるときは、遠慮なく医師に聞いてください。

健生病院 眼科 西内 貴子医師