(15)黒目(角膜)の病気

黒目はドーム型の透明な組織です。後方の茶色目(虹彩)が透けて黒っぽくみえるのです。表面の上皮、実質、内側の内皮とそれぞれの間の境目の膜をあわせて5層でできています。光が目の奥へはいっていくまず最初の部分で、ピント合わせにも関連しています。表面はキズつくと痛みや違和感を感じやすく敏感です。いろいろな病気がありますが、今回は代表的なものについてお話しましょう。

点状表層角膜炎

なにかゴミがはいったり、さかまつげがあたったり、ドライアイで表面が乾くと上皮細胞が脱落してキズができ、ころころするなどさまざまな症状がでます。通常、キズは新しく作られた細胞で補修されます(上皮化)が、脱落のスピードが早いとなかなか治らないこともあります。原因は取り除きつつ、ドライアイは水分補給などの点眼薬で治療します。

角膜びらん・潰瘍

キズが大きくなると、びらんとなり、上皮化にも時間がかかります。無事に治りかけてきても細胞の接着が十分でないと弱い刺激でも再発することがあります。キズに細菌や真菌(カビ)、アメーバが感染すると、角膜の奥の方(実質)まで侵され潰瘍となります。充血と強い痛みがでます。ひどい場合は黒目が真っ白に濁ったり、穴があいて失明することもあります。カビは日常生活場所や植物などに、アメーバは井戸や川、湖の水にもいます。原因を早く特定して、効果のある点眼薬や内服薬、点滴などで対処します。コンタクトレンズの不適切なケアでも感染しやすくなるので、なにか異常を感じたら、早めに受診しましょう。

翼状片

黒目の縁(とくに内側)になにかあるように見え、充血やころころ感はありませんか?白目(結膜)が黒目側にはいってくるのが翼状片です。両眼の内側にできやすく「つばさ」のようにみえるため、名付けられています。原因は外界の光や風刺激で、白目の細胞増殖がおこり、血管とともにゆっくりと黒目側にのびてきます。もりあがった部分はまばたきでこすれて、充血しやすくなります。大きくなりすぎると、視力に影響したり、乱視がでるので、適切な時期に手術で取り除くのがよいでしょう。点眼麻酔で30分くらいの手術です。入院の必要はありません。鏡をみたときに気づいた場合は眼科で程度を確認してもらいましょう。

水疱性角膜症

角膜内皮は六角形の細胞がきっちり並んだ膜状のもので、角膜の透明性を保つための重要な役目を持っています。内皮細胞は再生しないので、年齢とともに数は減少していきます。ケガや手術など他の原因で細胞が余計に脱落した場合は周りの細胞が拡大して損傷を補います。しかし細胞の守備範囲が広がりすぎると機能が保てなくなるため、角膜はむくみ、白く濁ってしまいます。表面に水ぶくれがでた状態を水疱性角膜症といいます。水疱がやぶれると非常に痛く、治療として角膜移植が選択肢にあがります。

黒目は外界との接触が一番多い部分です。傷つけないように、また傷ついても早めになおるように、ご自分でも観察し、注意していきましょう。

1年余にわたり、眼科関連のお話を掲載してまいりましたが、今回で終了となります。眼科を身近に感じていただけましたでしょうか?楽しみにしていますというご意見を励みにしておりました。お読みいただきありがとうございました。

健生病院 眼科 西内 貴子医師