(6)生活の中の色

現代は多くの情報がさまざまの色とともに、私たちの目に入ってきます。

ただ、色の感じ方は人それぞれ。赤色と一致していても、私とあなたがみている赤は違います。だれでも同じようにみえているわけではありません。

みている状況(部屋の明るさ、光の方向など)によってもちがってみえます。暗い場所で選んだソックスが、明るいところでみると左右違っていた(おしゃれは別ですが・・・)などはよくありますね。

私たちは日常生活の情報を無意識のうちに「色」に頼りがちです。ものの輪郭だけでなく、違いがよくわかるようにカラフルな表示が用いられていますが、実は色の判別が難しい方も多いのです。

感じ方の違いは多くの人に

たとえば、生まれつき色の感じ方が異なる人。以前は色盲とか色弱と言われていましたが、最近は色覚異常と呼ばれるようになりました。程度もさまざまで、目の奥の赤、緑、青の色を感じる細胞の力が大多数の方に比べて、どれかが弱いとわかってきました。日本人男性の20人に一人、女性は500人に一人の割合でおられ、決してまれではありません。そのほかにも、加齢とともに、白内障になると薄黄色のフィルターをつけてみているような状態になるので、色の感じ方は変わります。また、なんらかの目の奥の網膜の病気でも変わります。

まずはみんな同じ見え方ではないのだということは意識しておかなければいけません。

カラーユニバーサルデザイン

そこで、多様な色の感じ方に配慮して、情報がなるべくすべての人に正確に伝わるように、利用者の視点に立って、案内表示などの色やデザインを決めましょうという考え方がでてきました。これがカラーユニバーサルデザインです。自治体によっては、街づくりにおいて、住民への印刷物や案内の作成上のガイドラインをつくっているところもあります。防災マップや「危険!」表示など正しく伝わらないと命にかかわることもあります。教科書にも反映されてきています。いくつかのポイントがあります。 

  1. 色の工夫:区別がつきにくい色の組み合わせをさける、パステルカラー同士はさける、赤なら赤橙色がわかりやすい、背景とのコントラストをつける、明るさや鮮やかさを考慮するなど。
  2. 色以外の工夫:太字や大きい面積で表示、その色の名前も記載、縁取りをする、斜線や点々をいれるなど他の情報も追加 など。

実際に日々、私たちがみているものは、わかりやすいですか?どうもこれが判別しづらい、間違いやすいということはありませんか?色の感じ方についても多様性を認め、情報が公正に得られるように配慮することが当然という時代になってきています。

健生病院 眼科 西内 貴子医師