骨粗鬆症は女性だけの病気ではない 骨粗鬆症の原因 パート② (4)

骨粗鬆症とは骨強度が低下し、骨折の危険性が増大した状態です。骨強度は密度(柱の本数や太さ)と質(柱の材質)で決まります。骨密度検査では骨質までは評価することができません。

今回のコラムで取り上げる生活習慣病は骨質劣化(図)による骨折を招きます。骨密度が良くても、生活習慣病を有するだけで骨折のリスクが高まります。生活習慣病は、骨密度とは独立した骨折危険因子とされています (※1)。

骨粗鬆症と生活習慣病

加齢に伴う酸化ストレスが骨粗鬆症の原因の一つとされています。よって、骨粗鬆症は加齢に伴い増加する疾患と言えます。その点では、生活習慣病と骨粗鬆症は似ています。生活習慣病も加齢に伴い増加する疾患であり、さまざまな疾患がありますが、骨粗鬆症と関連が明らかになっているのは糖尿病と慢性腎臓病(CKD)です。

特に、糖尿病は骨質を劣化させ、骨密度が良くても骨折のリスクが高まると報告されています (※2)。

骨の健康を守るためにも生活習慣病の予防や治療が大切

もちろん、自分の骨の健康を知るための手段として骨密度検査は大切であり、今までのコラムでも男性は60歳以上、女性は50歳以上の骨密度検診を勧めてきました。しかし、骨密度検診では骨質の評価はできません。特に糖尿病患者さんは、骨密度が良いからといって全く安心はできません。

生活習慣病の予防や治療は骨質劣化予防や骨質改善につながります。生活習慣病の予防や治療をしっかり行うことで、骨折しない明るい未来が開けます。

最後に

生活習慣病の中でも糖尿病患者さんや慢性腎臓病患者さんは骨折リスクが増大している可能性がありますので、ぜひ、当院骨粗鬆症専門外来にご相談ください。

(※1) 生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド 2019年版
(※2) Saito M et al : Bone quality in diabetes. Front Endocrinol (Lausanne) 14 : 1-4, 2013

徳島健生病院 整形外科科長 峯田 和明 医師