(11)まぶたがさがる…

眼瞼下垂のいろいろ

目がぱっちりあきにくくなったり、鏡でみてまぶたがさがっていることはありませんか?人はだれでも、左右の目の大きさは多少違います。が、以前にくらべて片方または両眼のまぶたがかぶさる、眉毛をあげたり、おでこにしわを寄せてぐっと見開かないとみえにくい、つい顎をあげてみてしまう、視野がせまいような感じがする、このような状態を眼瞼下垂といいます。

先天性と後天性

先天性は赤ちゃんのときから、片眼や両眼の目があきにくい場合です。まぶたの皮下にある、まぶたを挙げる筋の生育が不十分のために起こります。正面で黒目の中の瞳がみえない状態だと、視力の発達に影響して、弱視になることがあるので、早期の手術が必要となります。

後天性は成人してからまぶたがさがる場合です。こちらの方が圧倒的に多く、Aまぶたの問題 と、B全身の病気の影響 の二通りあります。どちらかは治療の方法に関連するので、諸検査が必要です。

A まぶたの問題

① 加齢とともにふえる顔の皺やたるみの一種として、まぶたの皮膚が伸びてかぶさってくるもの
②まぶたの中の筋が徐々にゆるんで、あげる力が弱ってくるもの

の2タイプがあります。

②の中には、コンタクトレンズ眼瞼下垂というのもあります。若い頃から長期にハードコンタクトレンズを使用していた場合、毎日のつけはずし時に、まぶたをひっぱったり、さわる頻度が多いため、筋のゆるみがおこると考えられています。

B 全身の病気の影響

  1. まぶたにきている神経(動眼神経)が脳動脈瘤など脳内での圧迫により、ダメージを受け、急に下垂がおこるもの。これは片眼におこり、目の動きもわるくなります。外傷でもなることがあります。頭部MRI検査が必要です。
  2. 重症筋無力症という病気では、全身の筋が疲れやすく、手足に力がはいりにくくなったりします。指定難病のひとつで、目だけの場合もあり、朝のうちは症状が軽く、夕方になるほどまぶたがあげにくくなります。休憩すると一時的に改善します。血液検査やある注射の反応で診断します。簡便にはアイスパックテストという、凍らせた小さな保冷剤を2分間まぶたにあてて、その後まぶたがあがるかをみる方法もあります。
  3. 片側顔面けいれんや眼瞼けいれんでは、目のまわりがぴくぴくするとともに、ぎゅーとひきつるように目があけにくくなるので、下垂と間違われることがあります。治療が違うので、区別が必要です。

治療

全身状態から来ている場合はもちろん、その治療が優先されます。

まぶたの問題だけの時は、黒目の中の瞳のかくれ具合により視機能が障害される場合は、保険適応での手術の方法があります。美容的な目的では保険は使えません。A-①ではゆるんでつまめる余剰皮膚を切除したり、眉毛下を切開してまぶたを引き上げたりします。A-②ではまぶたの中の伸びた筋を縫い縮めます。どちらもまぶたの部分だけの局所麻酔注射でできますが、程度や元のまぶたの形状など人それぞれですので、十分な検討が必要です。切開ラインがくっきり二重になりますので、お顔の感じがかわります。

お困りの方は、ご相談ください。

健生病院 眼科 西内 貴子医師