(4)涙が多い

哀しい時、ドラマやニュースでのかわいそうな場面、感動の場面では涙があふれて…。という経験はよくありますね。こんな時以外には「涙」を自覚しにくいのですが、つねに涙はでていて、快適にみえるための大切な働きをしています。ドライアイで目の表面が乾くのも苦痛ですが、普段から涙がですぎるのも不快です。今回は涙について、みてみましょう。

涙はどこから?どこへ?

図のように、涙は、涙腺でつくられ、まばたきのたびに目の表面を潤し、下まぶたの縁にたまり、目頭にある涙点から排出されます。涙腺からの分泌も涙点への排出もまぶたの開閉に関連しています。上下の涙点から吸い込まれた涙は、鼻へと流れ、途中粘膜に吸収されます。泣いた時の鼻水は余分の涙です。

涙の成分

涙にはミネラルやたんぱく質の他、リゾチームという殺菌作用をもった成分が含まれ、酸素や栄養をあたえるとともに感染から目を守っています。常に目をうるおしている基礎分泌の他、ゴミがはいった時に刺激ででる涙、感情ででる涙(自律神経の働きが関係し、人間特有)があり、成分の割合は異なるといわれています。

あふれる涙

涙が多いと感じるのは、出てくる量と排出量のバランスが悪くなった時です。さかまつげやキズの刺激があると分泌量が増えます。ドライアイでも乾燥のキズから涙がでる時もあります。ワニの涙症候群では、食事のときに涙がでます。顔面神経麻痺後に唾液腺と涙腺へいく神経の誤再生のためです。

排出量が少なくなるのは、①涙道のうちのどこかが細くなったり、つまっている、②アレルギー性鼻炎などで鼻の粘膜が腫れている、③加齢によりまぶたの皮膚がゆるみ、効率よく涙点へ吸い込めないなどの時です。涙管の閉塞の有無を見る検査や涙道内視鏡でどこがつまっているのか検査し、それぞれの原因に対応することが治療となります。

健生病院 眼科 西内 貴子医師