[お詫び]AI技術を用いた骨粗鬆症1次検診について

 2024年4月22日の徳島新聞社朝刊にて取り上げて頂きましたAI技術による骨粗鬆症の1次検診(※)は, 医療機器メーカー(以下、A社)が開発した技術を取り入れて2024年2月より取り組みを開始したものでした。全国の骨粗鬆症1次検診率は5%未満と低く、徳島県はワースト10位内です。この実態を少しでも改善させる目的で、胸部検診のついでに気軽に骨粗鬆症の1次検診を受けられるというところに着目し導入した次第でした。また、 新聞社に取り上げて頂くことで、一人でも多くの方々が骨粗鬆症の1次検診を受けて下さり、要精査の方々に骨粗鬆症の予防や治療の早期介入が出来ることを切に願っておりました。

 しかしながら、新聞掲載の同日にA社より本技術を用いた1次検診について認可取り消しの連絡が入りました。誠に残念ながら胸部レントゲンを用いた骨粗鬆症の1次検診は、A社の技術を用いては行えないことになりました。以前から、病院ホームページを見て興味を持って下さっていた方々や新聞を見て実際に受けてみたいと思って下さった方々には大変申し訳なく思っております。

 AI技術を用いた骨粗鬆症1次検診は他社製品にて運用が可能なので、当院骨粗鬆症センターとしては早々に他社製品を取り入れての運用再開を検討しております。一番大切なことは一人でも多くの方々が、骨粗鬆症の検診を受けて下さり、早期に予防や治療が出来ることだと思っております。AI技術を用いた検診が出来なくなったというだけで、通常の骨密度検査を用いた検診は引き続き行っておりますので、新聞を見て骨粗鬆症の検診に興味を持たれた方は、しばらくは是非通常の検診を受けて頂けたらと思います。なお、当該製品にて1次検診を既に受けて下さった方々に対しては、認可が取り消された製品であっても骨粗鬆症検診を受けるきっかけになったこと、要精査で受診してくださった方々には、予防や治療の早期介入が出来たことを私としては大変意味があったことだと思っております。

 これからも骨粗鬆症センターとして一人でも多くの方々の骨の健康を守る取り組みを進めていきますので、是非一度検診に足を運んで頂けますと幸いです。

(※)骨粗鬆症1次検診:従来では踵の骨や腕の骨に対し超音波やX線を用いて簡易の骨密度を測定し若年者平均の80%未満の方が要精査として当院のような骨粗鬆症診療を専門にしている医療機関に受診するというものです。市町村が行っている骨粗鬆症の1次検診は, 健康増進法に定められた40歳以上の女性を対象にしているものです。当院の健診科で従来行っていた骨密度検査による検診は、腰椎と大腿骨近位部の骨密度をX線で測定するもので精度の高いものです。ただし、従来の骨粗鬆症検診はよほど骨の健康に関心がある方でないと受けないという現状でした。それが検診率の低さの実態だと思います。

整形外科 科長 峯田 和明