医師からのメッセージ
骨粗鬆症による骨脆弱性骨折(主に脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折)は要介護の大きな原因となります。
健康寿命の短縮のみならず生命予後を脅かす重症骨折です。一度骨折を起こすと元の生活には戻れないばかりか、骨折はドミノ倒しのように連鎖し骨折を繰り返す度に健康寿命がどんどん短縮してしまいます。
骨折を起こさなければもっと質のよい人生が送れたはず、もっと生きることができたはずという患者さんを多く診てきました。さらに、骨粗鬆症性骨折は御本人のみならず、御家族の人生をも変えてしまう出来事です。
当院では整形外科を筆頭に2016年度より、骨粗鬆症性の骨折により苦しむ患者様や御家族が1人でも多く減るようにという想いで、骨粗鬆症診療に積極的に取り組んできました。2019年度よりは骨粗鬆症対策チームを結成し、病院全体の取り組みとして尽力しております。当院では多職種で連携して骨粗鬆症診療を行っております。
現在、連携の要となる骨粗鬆症マネージャー資格を6名が有しております。骨粗鬆症は早い段階での健診と生活改善により予防することが可能です。骨粗鬆症は早期に発見し治療していけば骨折のない豊かな人生が送れるようになります。
当院にかかる全ての方の骨格の健康を守れるように2023年度より骨粗鬆症センターとして病院全体で骨粗鬆症診療に取り組んで参ります。
我々の使命は、当院にかかる患者様の健康を守ることにとどまりません。現在5%程度とされる骨密度健診の受診率向上、地域連携により徳島県全体の骨格の健康を守っていくこと、人生の質の向上、生命予後の向上に取り組んでいくことです。
徳島健生病院・骨粗鬆症センター
整形外科科長 峯田 和明
Tokushima Kensei Hospital Osteoporosis Center
Head of Orthopedic Surgery
Kazuaki Mineta
国際骨粗鬆症財団(IОF)から『金賞』を認定‼
当院での骨粗しょう症に対する取り組みが評価され、骨粗鬆症財団(IOF:国際的な骨粗しょう症治療、予防・啓蒙活動に取り組む財団)より
Capture the fractrure『金賞』
を認定していただきました。
最高ランクである金賞は四国で唯一です。
これからも、骨粗しょう症マネージャーを中心にスタッフ一同、連携して骨粗しょう症の治療と予防に取り組んでいきたいと思います。
骨粗しょう症チーム会
医師、看護師、薬剤師、理学療法士、医療ソーシャルワーカーで患者さんをサポートします。
骨粗鬆症マネージャーからのメッセージ
2019年2月に骨粗鬆症専門外来を開始し、同時に骨粗鬆症チーム会を発足しメンバーが中心となり対応しています。
- 積極的な骨粗鬆症検査をすすめています。半年から一年に一回の検査をすすめており、骨密度とかが正常範囲内の方には年一回の骨密度健診をすすめています。
- 制度利用や治療費などの説明を行っています。
- 治療開始時にはDVDによる学習と、薬剤師より薬剤や注射手技説明させて頂いております。
- 中断しないための来院チェックを行い、必要に応じて電話などで体調伺いも行っています。
- 理学療法士によるリハビリやストレッチの指導も適宜行わせて頂いております。
- 入院患者には栄養士から食事相談も行っています。
看護師としての役割は多々あるが一番の役割は治療継続への援助と思っています。
通院患者さんには来院チェックを行い、来院されなければ電話などで受診をすすめ予約対応も行い、他院や多施設への変わられた患者さんには診療情報提供書内容を確認し治療が継続できるよう必要があれば地域連携相談室から連絡をしてもらうよう依頼しています。
地道な作業ではありますが看護師と骨粗鬆症マネージャーの役割とし、今後も治療継続の支援や、検査推進への活動を行っていきたいと思っています。
整形外科 看護師 平尾 美津代
骨粗鬆症の治療薬には内服薬も注射薬もあります。
①毎日飲む・注射する薬、②週に一回だけ飲む・注射する薬、③月に一回だけ飲む・注射する薬、④半年に一回だけ注射する薬、⑤一年に一回だけ注射する薬、などたくさん種類があり、一人一人に合わせた薬を選択しています。ただどの薬を選択しても、継続できなければ骨粗鬆症は進行してしまいます。骨粗鬆症における薬物治療は中断せずに継続することが最も重要です。治療を続けていて良かったと思ってもらえるように、薬剤師として骨粗鬆症マネージャーとして手助けしていければと思っています。
骨粗鬆症の予防には食事と運動も非常に重要です。薬のこと以外でも分からないことや知りたいことがあれば何でもご相談ください。骨折しない強い骨を保ち元気に楽しく生活できるように、一緒に骨粗鬆症の治療に取り組んでいきましょう!
薬剤師 野口 太嗣
理学療法士として患者さんのリハビリを行うなかで、骨粗鬆症を合併している患者さんや骨粗鬆症を背景とした骨折を起こしてしまった患者さんを多く経験します。骨粗鬆症は特に高齢者に多く発生することから日常生活活動を低下させるだけでなく、生活の質や生命予後にも影響すると言われています。骨粗鬆症は自覚症状がほとんどなく、骨折して初めて気付くことが多いため、普段から骨の状態を把握し、適切な生活習慣を意識することが予防につながります。
骨粗鬆症の予防と改善には、定期的な身体活動が重要であり、高齢期の骨の健康に有益な効果があることが示されています。我々理学療法士は運動の専門家であり、骨粗鬆症診療のチーム医療における役割としては、「運動・転倒リスクの評価」と併せて「運動指導」が重要であるといわれています。これに加えて骨粗鬆症の病態や骨密度の測定結果などを医学的に理解できること、対象者の身体機能を評価しライフスタイルや生活環境に合わせてアプローチできることが強みと考えています。
理学療法士としての専門性を活かし、骨粗鬆症マネージャーとして骨粗鬆症対策チームの中心となり、率先して骨粗鬆症予防に取り組んでいきたいと思っています。そして、患者さんの健康と新たな地域づくりに貢献していきたいと考えています。
理学療法士 岩野 巧
骨粗鬆症財団の調査によると、50歳以上の男性の5人に1人、女性の3人に1人が骨折を経験しているそうです。背骨や大腿骨の骨折を一旦起こしてしまうと、筋肉や関節を動かす機会が減り、今までできていたことができなくなる可能性があります。これを防ぐためにも骨粗鬆症治療は非常に重要です。
骨粗鬆症の治療の目的は骨密度の低下を抑え、骨折を防ぐことにあります。
一般的に薬物療法が中心となりますが、食事や運動など長年の生活習慣も深く関わっており、理学療法士は運動面において、皆さんのサポートを行っていきます。
いつまでも元気で動くことが出来るよう、我々と一緒にコツコツ骨を強くしていきましょう。
理学療法士 鎌田 大志
骨粗鬆症は加齢などの要因で骨の密度や質が低下してもろくなり、ちょっとしたことで骨折しやすくなる病気です。そして一度骨折をしてしまった患者さんは二次性骨折のリスクが高く、その骨折により日常生活動作や生活の質の低下は否めません。私たち看護師はその様な現状に陥った患者さんをたくさん見てきました。
これから高齢化がますます進み骨折をして入院を必要とする方が増えていくと思います。そこで骨粗鬆症マネージャーとして骨折により入院する患者さんの減少や日常生活動作や生活の質を保持するために、患者さんご本人やご家族の方々に治療継続の重要性を伝え、退院や転院後も治療が継続できるよう、また骨折患者の減少に繋がることができたらと思っています。
そしてその発信により一人でも多くの方々の健康格差の縮小と健康寿命の延伸に貢献できればと思っています。
地域包括ケア病棟看護師 池北美佐子