徳島健生病院 呼吸器内科医師 中野万有里
新型コロナウィルス感染症(以下、コロナ)で一躍有名になったのが呼吸器内科です。
2023年5月8日に5類になりましたが、コロナ罹患後に咳が続くことを主訴に受診される方が最近は多いです。感冒後咳嗽(風邪のあとに長く続く咳)の方がほとんどですが、基礎疾患に喘息や慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)といった呼吸器の病気が隠れている方もいらっしゃいます。
また、息がしにくい(呼吸困難感)ことで受診される方も多数おられます。
呼吸困難の原因で最も多いのは心不全ですが、そのほかCOPDの急性増悪、気管支喘息発作、呼吸器感染症、肺血栓塞栓症、急性冠症候群などの病気が呼吸困難の原因となります。
呼吸器内科はひろくいろいろな病気をみています。
気管支喘息(喘息)は空気の通り道(気道)に炎症が起き、さまざまな刺激に気道が敏感になって発作的に気道が狭くなることを繰り返す病気です。
日本では喘息の患者さんは増えており、全体では400万人を超えています。
COPDは長年の喫煙習慣が主な原因の、肺の生活習慣病です。
日本では40歳以上の8.6%、約530万人の患者さんがいるといわれていますが、治療をうけているのは1割程度です。
どちらの病気も早期発見、吸入薬による定期治療が必要な病気です。
特発性間質性肺炎は原因不明の肺が硬くなる病気です。
肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚く硬くなるため(線維化)、酸素を取り込みにくくなります。
肺炎や気管支炎、肺結核、非結核性抗酸菌症などの呼吸器感染症、肺がんなど、さまざまな呼吸器の病気があります。
呼吸困難の原因も詳しく調べてみないと正しい診断ができず、診断がつかないと治療ができません。
当院は内科・総合診療科という形で、一般外来を開設しています。
199床以下の小さな病院(病院自体は5階建てですごく大きいです)ですが、2020年12月に新病院が建ち、CTなどの検査機器が新しくなりました。
当院では呼吸機能検査、FeNO検査、胸部X線、胸部CT、血液検査など、呼吸器の病気の診断、治療に必要な検査をうけることができます。
FeNO検査は令和元年5月に導入しましたが、下気道の好酸球性炎症を測定する検査で、喘息の補助診断に使用しています。外来で簡単にうけることができますが、咳が強いときは検査することが難しいので、咳がおさまってから、後日行うようにしています。また、スパイロメーターを使用した呼吸機能検査も行っています。
当院の検査だけで診断がつく場合も、当院だけで診断がつかない場合もあります。 まずは一般外来を受診、病気の原因を検査します。
当院でフォロー可能な呼吸器疾患であれば、毎週水曜日の午後に呼吸器専門医の外来受診(予約制)をかかりつけ医として定期通院することが可能です。
また、当院で検査や治療が難しい病気のときは適切な医療機関に相談、紹介も行っています。
世界規模で一躍有名になった呼吸器内科ですが、専門医の数は全国で循環器内科の2分の1、消化器内科の3分の1と少ないです。
小さな病院で相談しやすく、を目指して、日々診療を行っています。